揺れる思いのトシちゃん
介護 | comments(0) | trackbacks(0) | アズキ姫 |
土日、祝日以外は、言語、作業、理学のリハビリがある。
アイちゃんは、日によってノリノリで頑張る時と、全くやる気の出ない日がある。
言語療法の時間は、自分の名前を言ったり、短い文章を読んだり、歌を唄ったりする。
それは、嫌がらずにするのだが.
口の中を拭いてもらったり、口腔マッサージをしてもらうのは、嫌なようで、先生が
「口をあけてくださーい、はい!あーん!」と言われると
アイちゃんは、にこー(^^)と笑って「もう やめよかあ?」と言い出すのである。
「まだですよ。」と言われると、眉間に皺を寄せて、口をへの字に結んで、絶対開けない.
そこからはもう二人の根競べ。
大抵、アイちゃんが負ける(笑)。
作業療法では、机につかまって立つ練習をしたり、簡単な手作業をする。
好きな色の毛糸を選んで、円形の簡易卓上編み機を使い入院中に帽子を二つも仕上げた。
ある日、帽子編みに、あまり乗り気じゃなかったアイちゃんは、一つ毛糸を引っ掛けては、ため息をつき、また一つしては ため息。
その時、先生が「ちょっと、やっててくださいね。」と席をはずされた。
すると、横にいた、トシちゃん、「しんどいんか?手伝っちゃろか。」といきなり帽子を編み出した。(いやいや、それではリハビリの意味がないだろ(・。・)と思ったが、、、、)
しばらくして戻ってきた先生が一言、「僕がいない間に、随分頑張りましたねー。じゃあ今日はここまでにしましょう」
アイちゃんはニコニコ!トシちゃんと私はうつむいて、苦笑い。
理学療法の時は、いつも、まず寝転んで手足のマッサージをしてもらうのだが、何せ背中の湾曲したアイちゃん。仰向けになる時は背中とマッサージ台の間に、土嚢のごとく、クッションを挿み、左右にもクッションを置き、倒れないように、固めてからのマッサージである。
そして、いよいよ、アイちゃんにとっても、見ているトシちゃんにとっても、一番辛い時間、歩行訓練である
両サイドのバーを脇で挟むようにして、先生に補助してもらいながら、ほとんど利き手利き足だけで、前に歩くのだ。
2メートルほどを往復するのだが、先生曰く、こちらが、想像している何倍も体力も使い、辛い訓練なのだそうだ。
手作業にしても、歩行訓練にしても、アイちゃんの場合は、介護されるとき、アイちゃん自身の利き手利き足に力が入ることで、介護する側の負担が軽減されるためと言うことの方が、大きい。
車椅子から、ベッドに移行する時、その逆の時、オムツ交換の時、などなど本人が、力を入れてくれると、介護者は小さな力で動かすことができる。毎日毎度のことだから、これは とても大切だ。
トシちゃんも私達も、アイちゃんのリハビリに並行して、移行のやりかた、坂道や段差での車椅子の扱い、口腔ケアの仕方、麻痺している手足のマッサージの仕方など、何度も練習させてもらった。
この頃、トシちゃんが よく言うのだ。
「わしらの、訓練だけやったら、あかんのか?利き足まで動かんようになったら困るけど、ハアハア言いながら歩く練習しとるのは、可哀そうで見てられへん。」
その気持ちは、よくわかるけど、ここはやっぱり、我慢やで。
アイちゃんにとっても、寝たきりになるのは、今よりもっと辛いと思うよ。
トシちゃん!暗いよ! 車椅子に乗って、一緒に散歩している姿 想像してみてよ!楽しいでー!!
フレーフレー!トシちゃん!!